橿原市からJリーグを目指すサッカークラブ「飛鳥FC」が所属する日本フットボールリーグ(JFL)第27節が、11月2日に鞄工房山本アスレチックフィールド橿原で行われ、飛鳥FCが1-1でアトレチコ鈴鹿と引き分けました。後半アディショナルタイムまでリードしながらラストワンプレーで失点。リーグ残留に向け、痛恨のドローとなりました。
試合前まで

今季からJFLに昇格した飛鳥FCは、4試合を残して、16チーム中16位と最下位に沈む中、3連敗中という苦しい展開。今節の対戦相手は同じく残留を争っている13位のアトレチコ鈴鹿でした。鈴鹿には日本サッカー界のレジェンド・三浦和良選手も所属。勝ち点3をかけた熱い残留争いと共に、橿原のピッチにキングが降臨するかにも注目が集まりました。
試合展開

相手サポーターも大勢駆けつける中、3-4-3のフォーメーションで臨んだ飛鳥。3連敗中の嫌な流れを何としても断ち切ろうと、前線から果敢に守備を仕掛けますが、テクニックのある相手の中盤にいなされて、相手ボールでのプレー時間が多くなります。それでも決定的なシーンは作らせず。古巣対戦となったDF藤武剛選手を中心とした固い守りで、押し込まれながらも、相手にシュートを許しません。一方の飛鳥は、こちらも古巣対戦となったMF関知哉選手と佐藤璃樹選手のダブルボランチを中心に、攻撃を組み立てようとしますが、なかなか相手ゴールを脅かせないまま前半戦を終えます。

ハーフタイム、絶対に勝利が欲しい飛鳥FCイレブンに対して、美濃部直彦監督のゲキが飛びます。中盤をコンパクトに保って、ルーズボールを回収。自分たちのペースで攻撃する時間を増やすと、FW清川流石選手やMF小倉貫太選手など、交代選手を数多く投入します。後半28分には、相手陣でボールを奪い返した飛鳥FCがチャンスを作り出し、最後は清川選手がシュートを放つも相手GKに阻まれます。勢いに乗る飛鳥FCに再びチャンスが生まれたのは後半35分。自陣ゴール前から繋ぐと、小倉選手が意表を突くロングスルーパス。これに抜け出した清川選手がワンタッチでGKを交わすと、がら空きのゴールに流し込み、先制点をあげます。

その後は一進一退の攻防の中、飛鳥FCのDF陣が体を張った守備をみせます。しかしアディショナルタイム5分、残りワンプレーで試合終了という時間帯で相手にコーナーキックを許してしまいます。このコーナーキックを相手DFに頭で合わせられて痛恨の同点ゴール。直後に、無情な試合終了のホイッスルが鳴り響きました。 痛すぎる引き分けとなった飛鳥FCは勝ち点1を得たものの、15位横河武蔵野FCとの勝ち点差は6。数字上はかなり厳しくなったものの、奇跡の残留をかけ、残り3試合に全力で挑みます。

(補足)
アトレチコ鈴鹿のFW三浦和良選手は、88分から途中出場。
“キングカズ”が橿原のピッチでプレイしました。
美濃部直彦監督 試合後コメント

―前半は押し込まれる展開が続いたがどう分析していたか
思っていたより、相手のビルドアップがうまくて、ボランチが中央を外してサイドにも動き回っていたので、それを捕まえられなかった。相手に(ボールを)もたれたが、前半危なかったシーンで、0に抑えられたのは良かった。
―後半は押す展開になって、ゴールをあげた
相手も(運動量が)落ちてきて、セカンドボール回収の場面で、うちが出足で勝てるようになってきたので、チャンスが増えてきた。でもその後の失点がね…。
―最後ラストプレーで追いつかれた。振り返るとどうか
勝負のあやというか…。(試合後に)選手たちに伝えたのは、あの場面で最後(のコーナーキックに繋がる前のプレーで)ファウルが本当に必要だったか、結局それがセットプレーになって、失点につながった。コーナーキックに関しても、(ボールに近い相手選手に詰めていったが)本当にあの時間帯に相手がショートコーナーを使うかどうか考えたか、とか。そういう細かいミスが、今シーズンずっと続いている。そこを修正しきれていないというか、経験値が足らない。それは相手に隙を与えるってこと。関西リーグだったら、そのエラーを繰り返しても負けたり失点にはつながらない。ただ JFLレベルだと、こういうことが起きる。
―試合後、俯く選手たちを鼓舞するシーンが印象的だった
サポーターの前で頭を下げて、そんな下を向いていても何も生まれない。まだ3試合もあるのに、サポーターに情けない姿を見せても仕方ない。だから頭を上げろ、堂々と戦ってそれでも負けたんやからそれは仕方ない、そういう受け入れ方をしないといけないと伝えた。(残留の)可能性がなくなった訳ではないので、あんなことやっていたら駄目だと思ったんです。
それでもやっぱり悔しい。全然戦えてない試合、(例えば)毎試合5点取られるとか、何もさせてもらえないとか、そんなゲームが何試合もあるなら仕方ないなと思うけど、こういう負けが続くと、ちょっと諦めはつかないね。まぁでも残り3試合やるだけです。
清川流石選手 試合後コメント
途中出場で殊勲の勝ち越しゴールも空砲に。試合後には誰よりも悔しそうな顔を見せたストライカーにインタビュー。
―途中交代で得点をあげた
(投入時に)0-0の状態で残り30分+αという状況で、自分のやることは練習でやってきた(相手DFの)背後を狙い続けるってところと、競り合いのところで主導権を握れるように、まず一歩目をしっかりするというところで。すっとゲームに入れたのは良かったです。
―試合後サポーターの前でも俯いていたが
その時は、ショックが大きかったんですけど、もう今は切り替えました。やるべきことははっきりしている。3連勝するしかないんで。そのために1週間、FWとしてやるべきことをしっかりやって、次こそ1点だけじゃなく、2点、3点と僕が奪って、勝ち点3を取れるようにやっていくだけですね。
―ラスト3試合に向けての意気込みは
去年の11月は、1ヶ月で飛鳥FCというチームをこのステージに持ってきた勝負の月だったので。だから今年も奇跡を起こす11月にします。サポーターの人も信じて、ついてきてくれてますし、映像で見てくれる人もそうですし、準備してくれる人もそう。(残留は)他力な部分はありますけど、僕らが勝ち続けていけば、絶対にプレッシャーになるんで。僕らがやるのはしっかり勝ち切る、勝ち点3取るってこと。絶対に奇跡の11月します。
ホームゲーム情報
ホームゲーム最終節、スタジアムで飛鳥FCを応援しよう!!
梅本タツヤ
奈良県のスポーツの面白さや奥深さを広く発信するべく活動している副業スポーツライター(普段はサラリーマン)。好きなスポーツは、球技(野球・サッカー・バスケ)、格闘技、モータースポーツなど。運動音痴なため得意なスポーツはなし。
