橿原市からJリーグを目指すサッカークラブ「飛鳥FC」は、JFL昇格がかかる「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2024」の決勝ラウンドに進出。11月20日にたけびしスタジアム京都で行われた決勝ラウンド初戦では、関東リーグ王者のVONDS市原を、2-1で破って白星スタートを飾りました。
関西をはじめ関東、九州など9つある地域リーグの優勝クラブが、J1から数えて4部に相当する日本フットボールリーグ (JFL) 昇格をかけて戦うサッカー大会。今年の関西リーグで王者に輝いた飛鳥FCは、4クラブずつ3組で戦う予選ラウンドを2勝1敗で通過しました。同じく4クラブで争う決勝ラウンドでは、1位になるとJFLに自動昇格。2位の場合は、JFL最下位との入れ替え戦に勝利すれば、昇格が決まります。
試合展開
決勝Rの初戦は、予選ラウンドで一度敗れているVONDS市原。レベルの高い関東リーグで優勝し、今大会の優勝候補の呼び声も高い相手です。
試合は、序盤からボールを保持する飛鳥FCが、何度も相手ゴールへと迫る展開に。すると前半10分、相手のミスからボールを確保したFW清川流石が右足を振りぬいて、先制ゴールをあげました。前半18分には、相手選手が飛鳥FCの決定的なゴール機会を阻止したとして審判はレッドカードを提示。一発退場となります。1人多くなった飛鳥FCが優勢のまま前半を終えます。
ただし後半は、美濃部直彦監督が「1点取った後に相手が1人少なくなった。こういうゲームを勝ち切るのは非常に難しいというのは今までの経験からあった」と振り返った通り、難しい展開となります。立ち上がりから1人少ないVONDS市原が猛攻を仕掛けると、後半8分には飛鳥FCの隙をついて、ロングカウンターから1点を返されてしまいます。
劇的なシーンが生まれたのは、試合終了間際のアディッショナルタイム4分のこと。何とか勝利を得たい飛鳥FCの猛攻が続く中、左サイドをオーバーラップしたCBの一角・大原彰輝がクロス。中央に走り込んだ清川がこのクロスをダイレクトボレーでゴールに叩き込み、劇的な決勝点を奪いました。試合はそのまま終了。飛鳥FCは難しい初戦で、白星スタートを果たし、悲願のJFL昇格へ一歩前進しました。
殊勲のMVP・清川流石選手
この大一番で2ゴールをあげた清川流石選手は、劇的な決勝点について「自分でもビックリしています。本当良かったです」と笑顔で振り返ってくれました。クロスに関しては「チームを信じて、ここにくるだろうと走り込んだ結果です」と仲間を称えながらも、「FWとしての役目は今のところ果たせているかなと思います」と、予選ラウンドの弘前戦に続く決勝ゴールに、エースとしての頼もしさを感じさせてくれました。チームの雰囲気は良いそうで、「緊張というよりは楽しみが大きい。俺らってどれだけやれるんだろう。というスタンスを監督が提示してくれたので。俺らはチャレンジャーやという気持ちで挑めました」と、充実感を漂わせていました。
美濃部直彦監督インタビュー
──試合を振り返って
展開的にいえば1点取った後に相手が一人少なくなって…。こういうゲームを勝ち切るのは非常に難しいというのは今までの経験からあった。(その通りに失点したが)それをリカバーできたのは良かったですね。勝ち点3できっちり勝てたのは良かったと思います。
──同点に追いつかれた後の指示は
相手は1-1で(終わっても)いいと思っているのが見えたから、こちらはボールを保持できた。ただどうしても最後の部分、相手が深く守っているのを崩せず、思い切りいけなかった。最後は(攻守の)バランスを崩してもいいからいけと言いました。無理にでも点を取りにいった形ですね。
──勝因は
うちは戦力的には低いので、戦略的に勝つことを常に考えてきている。それを選手が忠実にピッチ上でやってくれているというのが大きいかな。
──残り2試合の戦い方
相手があることなので。相手次第で自分らがどうするかというのを考えている。それは僕らの中では普通のこと。勝つために変化している。(ただその変化は)全く新しいことではなく、普段やっていることをしっかりと整理して、相手にぶつけていきたい。
泣いても笑っても残り2試合。中南和を代表して戦う飛鳥FCを応援しよう!
梅本タツヤ
奈良県のスポーツの面白さや奥深さを広く発信するべく活動している副業スポーツライター(普段はサラリーマン)。好きなスポーツは、球技(野球・サッカー・バスケ)、格闘技、モータースポーツなど。運動音痴なため得意なスポーツはなし。