橿原市からJリーグを目指すサッカークラブ「飛鳥FC」が、天皇杯の奈良県代表を決める第30回奈良県サッカー選手権大会に出場。2025年5月10日(土)、ロートフィールド奈良で開催された決勝戦で、 J3リーグ「奈良クラブ」に0-2 で敗れた。
試合展開

プロクラブから学生まで、全国のサッカークラブがしのぎを削る天皇杯の奈良県代表を決める戦いに挑んだ飛鳥FC。対戦相手は県内唯一のJリーグクラブ「奈良クラブ」です。所属するJ3リーグでは昇格を狙える7位につけるなど好調を維持。奈良県サッカー選手権では、昨年まで3連覇(うち2回は飛鳥FCを破って優勝)しており、通算15回の優勝を誇る文字通り、県内最強の相手です。
スタジアムは奈良市のロートフィールド奈良。青色の奈良クラブサポーターがスタジアムを埋め尽くす中、少数ながら臙脂色を身にまとった飛鳥FCサポーターも負けじと声援を送ります。ボールを保持し、パスワークが武器の奈良クラブに対して、飛鳥は序盤から運動量で上回り、互角の戦いを演じます。得意の前線からのプレスがはまる場面も見られたものの、シュートまでは持っていけないシーンが続きます。前半半ばには、FW甲元大成選手が抜け出して、相手GKと1対1になるビッグチャンスが訪れるも、狙いすましたシュートはわずかにゴールを外れます。一方の奈良クラブは、DFの選手が中盤にポジションチェンジを繰り返すことで、よりポゼッションを強める展開に。前半終了間際には、飛鳥DF陣の一瞬の隙をついてFW田村翔太選手がゴールを決め、奈良クラブが1点リードしてハーフタイムに入ります。

1点を追いかける飛鳥FCは後半開始からMF井口椋介選手、FW清川流石選手を投入。1点リードした奈良クラブが少し引き気味に試合を進める中で、飛鳥FCの攻撃は活性化。井口選手が右サイドからどんどん勝負を仕掛けます。その仕掛けで得たFKやCKなどのセットプレーで再三ゴールを狙いますが、最後は奈良クラブDF陣の厚い壁に跳ね返されます。押し気味に試合を進めるも点を奪えない状況の中、後半終了間際には再び奈良の田村選手にゴールをこじ開けられてしまいます。試合はこのままタイムアップ。格上相手に互角の展開を見せたものの、最後は個の力に屈して悔しい敗戦となりました。
美濃部直彦監督試合後コメント

――今日の試合を振り返って
奈良県を代表する決勝戦ということで、奈良クラブとやるのを非常に楽しみにしていました。注目される中で、選手たちがいい結果を出せればと思っていたんですが、残念ながら0-2で敗れて、やっぱり悔しいなと思います。全く出来なかったかというと、そうでもないかなと。ただ決定力の部分は、今シーズンずっと課題だったので、それがこのゲームでも課題として出た。最後の部分のクオリティのところで、多くのチャンスを与えたわけではない中で2失点して、我々も惜しいシーンがあった中でしっかり決められていたら、状況は変わったんじゃないかと思います。
――格上相手に単純に引く戦いではなく、真っ向からぶつかったが
我々は挑戦する立場なので、このゲームでベタ引きして0-1で勝って、価値があるのかというのは考えた。結果が一番大事というのはわかっているんですけど、せっかく相手がベストに近いメンバーで来てくれた中で、自分たちの力をどれくらい発揮できるかというのが醍醐味でもある。それにがっつり守るよりも、前からプレッシャーをかけながらでないと、点を取れないと思った。そういう意味では前から圧をかける場面と、しっかりブロックを作って守る場面の使い分けは、練習してきたことを出せたと思う。
――試合前後に奈良クラブの中田一三監督と雑談するシーンも。どんな話をしたのか
お互い京都サンガで監督もしていたので、昔話をしながら。うちはチャレンジャーなので前から行くよ、とか駆け引きをしていましたね。指導者として、同じ奈良でどういうやり方をして勝っているのかには興味があったので。終わった後も色々喋れたので良かったです。今後もお互い切磋琢磨して出来ればと思います。
関智哉選手試合後コメント

今季アトレチコ鈴鹿から新加入した中盤のパサー。167センチの小柄ながら、ピッチを縦横無尽に走りまわりチャンスを演出する関選手にインタビューしました。
――今日の試合を振り返って
やっぱりJリーグとできる機会っていうのは、JFLで戦っているとほとんどないので。やっぱり優勝したかったなと思います。美濃部監督に与えられていた仕事、こういう攻撃をして相手を混乱させようというのがあったんですけど、それをうまく表現できたかと言われるとちょっと甘かったところがある。それができればもしかしたらもう少し違う結果になったかなと思います。
――具体的にどういう動きをしたかったか。
相手も後ろで回している部分があって、その状況で僕たちボランチが、アンカーの選手のにもっとプレスにいければよかった。FWがそこ(前からのプレス)で体力を使ってしまったと思うんで、そこはもっと僕らが担えればよかったと思いますね。
――リーグに向けての収穫は
先週に去年J3だった岩手とやって勝てて、今日もJ3の奈良クラブとやって、そんなにできなかったという印象はなかった。この2週間はすごくいい相手とできたので、次のリーグ戦には結構自信を持ってできるかなと思います。もうリーグ戦しかないので、もっと上位に上がれるように練習からやっていかないといけないなと思います。
大倉彰輝選手試合後コメント
チーム最年長のディフェンスリーダー。かつてはJFL時代の奈良クラブでもプレーした奈良県予選を誰よりも知る男にインタビューしました。
――今日の試合を振り返って
奈良クラブさんも強かったですし、僕らもやりたいことをしっかり準備してやってきたんすけど、前半はちょっとうまくいかなくかった。後半は割り切って、いいシーンが多かったんで、いい試合は出来たかなと思います。
――前半上手くなかった理由は
相手がJ3というのもあって、若い選手も多いので緊張もあったり、グラウンドが濡れていたりとかそういう細かい部分があったのかなと思いますね。もうちょっと上手くボールを動かせたかなと。その点、後半はうまく試合を運べたかなと思います。
――JFLに昇格して初の奈良クラブ戦だったが
古巣だったんでね。もう緊張とかは僕も年齢いってるんでなかったんですけど、やっぱりいいプレーして、みんなに見てもらいたいなというのはあったので。いや勝ちたかったですね。
――リーグ戦に向けての目標は
結果はついてきてないけど、良いサッカーは出来ていると思っています。もちろん結果が出ていないので満足はしていないですけど、やっているサッカーに自信は持っていますし、残りの差をどう埋めるのか、練習からしっかり突き詰めてやっていきたいです。目標は10位以内を掲げていて、僕らはできると思ってやっているので、しっかりそれを表現できるように練習から頑張っていきたいです。
試合情報
スタジアムで飛鳥FCを応援しよう!!
梅本タツヤ
奈良県のスポーツの面白さや奥深さを広く発信するべく活動している副業スポーツライター(普段はサラリーマン)。好きなスポーツは、球技(野球・サッカー・バスケ)、格闘技、モータースポーツなど。運動音痴なため得意なスポーツはなし。