橿原市からJリーグを目指すサッカークラブ「飛鳥FC」が所属する日本フットボールリーグ(JFL)第11節が、6月7日に橿原公苑陸上競技場で行われ、飛鳥FCが1-2でHondaFCに敗れました。過去10度のリーグ優勝を誇る強豪相手に先制しながらも逆転負け。監督や選手も悔しさを滲ませました。
展望
今季から全国リーグであるJFLに昇格した「飛鳥FC」。ここまで9試合を終えて、1勝2分6敗と苦戦が続いています。ただし、ホームの橿原公苑陸上競技場“カシリク”では1勝2分1敗と互角の展開。この日も橿原をはじめ中南和全域から集まったサポーターの後押しを受けて、勝利を目指します。
この日の対戦相手はJリーグの前身、日本サッカーリーグ(JSC)時代からトップリーグで活躍する企業クラブの雄HondaFC。過去10度のリーグ優勝を誇り、現在も5位につけるJFLを代表する強豪クラブです。
試合展開

今季初白星をあげた5月3日の盛岡戦以来1か月ぶりとなるホームゲームで、勝利をと意気込む金鵄軍団は、前半キックオフ直後にゴールネットを揺らします。決めたのはこの日初めてキャプテンマークを巻いて試合に臨んだMF小倉貫太選手。前半5分、右サイドからMF井口椋介選手がドリブルで持ち込むと、サイドに流れたFW清川流石選手がクロスをあげます。最後はゴール前に走り込んだ小倉選手が押し込み、幸先よく先制点をあげます。普段はボランチやサイドでプレーすることが多い小倉選手ですが、この日はトップ下でスタート。監督の起用に応える電光石火の先制ゴールでした。
今日は4-5-1のフォーメーションで入った飛鳥。「前線の機動力を重視した」という美濃部直彦監督の言葉通り、2人(清川、小倉)を中心に、前からの守備とカウンターで攻撃を仕掛けます。特に怪我から復帰し、この日右サイドバックに入ったDF小笹響平選手とスピードに乗った突破が持ち味の井口選手が並ぶ右サイドは迫力十分。2人のコンビネーションで何度も相手ゴールに迫りますが、追加点を奪うことができません。逆に前半終了間際に相手のコーナーキックから、同点ゴールを奪われます。

後半に入っても一進一退の攻防を続ける両チーム。飛鳥も何度も押し込む展開を作りますが、試合巧者のHondaFCに跳ね返されると、逆に後半25分には自陣左サイドからの突破を許し、最後はヘディングで逆転ゴールを決められてしまいます。
追う展開になった奈良はFWを立て続けに投入。リスクを背負って、思いきった攻撃に出ますが、結局最後までHondaFC守備陣の固い壁を崩すことができず、そのままタイムアップ。1-2で悔しい逆転負けとなりました。
美濃部直彦監督試合後コメント

―今日の布陣について
今うちの前線は機動力が低かったので。3バックでやるとウイングバックのところ、もしくは3トップのところの機動力が低いと前線でボールをキープできない。だから今日は4バックにして、(小倉)貫太を入れて、空いたスペースに飛び出したりだとか、そういう機動力を求めました。
―先制点はその狙い通りの形で取れた
そうですね。FWがサイドに流れて、そのFWがクロスをいれたところを、もう1人のトップ下が取るという意味では狙ったような形になったと思う。
―あとは守り切れればというところだったがセットプレーから失点した
何かできたら何かできない。セットプレーでここ数試合やられずに守れていたのに、このゲームに関してはやられる、と。そういう所がかみ合ってないですよね。だから(失点を)0で抑えた時に1点取れない。1点取れた時に2点取られる。そういう所のバランスがどうも悪いですね。
―HondaFCはワンチャンスをしっかりものにする「したたかさ」があったように思うが
したたかというか、やっぱり力がありますよね。だから同じ局面がうちにおとずれた時に、あのクロスを上げられて、ヘディングシュートをしっかりと叩き込めるかというと…。その辺りに力の差を感じます。
―開幕から10戦、ずっと悪くない試合が続いている
今日も全般的には悪くなかったと思うけど、ずっと言っているように1点差で敗れるということは何か足らない部分がある。そのピースを埋めるために、チーム内で色々システムを変えたりしているけど、中々その差が埋められない。結果が欲しいですよね。結果がついてきたら自信もついてくると思う。(そういう意味でも)ここからの10試合が凄く大事になると思っています。
小倉貫太選手試合後コメント

トップ下で先発出場し、前半早々に今季初ゴールを奪取。前線コンビを組んだ清川選手は愛媛FCユース時代の先輩。ここ奈良の地で再結成したコンビで結果を出した小倉選手にインタビューしました。
―試合を振り返って
前半、運良く点も入って、チームとしていい流れで良い時間帯に点は入ったのに、前半の終わり際とか飲水タイムの直前とか、チームとして締めなきゃいけないところで取られたのは悔しいですね。
―得点シーンは綺麗なゴールだった
清川選手がサイドに流れて、自分が上がっていったときに、最初はマイナスの方で呼ぼうとしたんですけど、一瞬ぱっと目があって、僕がニアに入っていったら何か起こるだろうと走っていったら、うまくボールも来て、後は触るだけだした。 今シーズン初ゴールなので嬉しかったです。
―今日はキャプテンマークを巻いてのプレーとなった
(※今季の飛鳥FCは特定のキャプテンを決めずに試合ごとに様々な選手がマークを巻いている)
僕も突然今日言われて、そういうタイプじゃないんで、びっくりしたんですけど。巻いた以上責任もありますし、ちょっと緊張しつつもそれを隠しながら試合に上手く入れたんで、良かったと思います。
―愛媛FCユース時代の先輩である清川選手のアシストでゴールを決めた
(清川選手は)僕が高1の時の高3で、2個上の憧れの選手だったんで。この年になって同じチームでプレー出来るのは嬉しいですし、今日アシストをつけてもらって。めちゃめちゃ嬉しかったです。
―今日の試合で得られたものは
選手たちも、それなりに自信というか、JFLのレベルに慣れてきてると思う。できないことはまだまだありますけど、できることもどんどん増えてきている。いい状態の選手もいますし、チームとしての幅や圧力も持てるようになってきているので、後はもう本当にきっかけ一つだなと思います。
今日の負けを反省するのは当たり前なんですけど、週明けにまた同じ悔しさと熱量を持って練習していかないと意味がないんで、そこはチームとしてしっかり持ち帰って、また来週勝てるように頑張りたいと思います。
試合情報
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梅本タツヤ
奈良県のスポーツの面白さや奥深さを広く発信するべく活動している副業スポーツライター(普段はサラリーマン)。好きなスポーツは、球技(野球・サッカー・バスケ)、格闘技、モータースポーツなど。運動音痴なため得意なスポーツはなし。