橿原市からJリーグを目指すサッカークラブ「飛鳥FC」が所属する「2024アストエンジ関西サッカーリーグDivision1」は、いよいよ今週末に開幕。
「飛鳥FC」は4月14日に、「守山侍2000」と五色台運動公園アスパ五色(兵庫県洲本市)にて戦います。 カシュー編集部は、そんな開幕戦を前に、チームの指揮を執る美濃部直彦監督にインタビューを敢行!今年の展望や、チームの目標についてお伺いしました。
美濃部直彦(みのべ なおひこ)
1965年7月12日生まれ、58歳。滋賀県守山市出身。現役時代は京都パープルサンガ(現京都サンガFC)などでプレー。引退後は京都の育成組織の指導者を経て、京都サンガで監督デビュー。徳島ヴォルティスや長野パルセイロで監督を歴任し、2021年よりポルベニル飛鳥(現飛鳥FC)の監督に就任。
2024シーズンに向けての展望
Jリーグ・徳島ヴォルティスなどで監督を務め、2021シーズンから「飛鳥FC(就任当時はポルベニル飛鳥)」の指揮を執る美濃部監督。就任初年度から3位、2位と順位をあげて挑んだ2023シーズンでしたが、結果は5位。一方で社会人サッカーの全国大会である全国社会人サッカー選手権にクラブとして初出場を果たすなど活躍を見せたシーズンでした。リーグ優勝&JFL昇格を目指して就任4年目のシーズンに挑みます。
──いよいよ2024シーズンのリーグ戦が開幕します。今シーズンはどんなシーズンになりそうですか。
昨年は就任して初めて順位が下がりました。昨年の反省をすると、今までで一番期待をして挑んだ年でしたが、シーズン途中にけが人が多く出て、なかなかアタッカー陣が揃わず、得点を奪えませんでした。途中でチームのシステムを変えたり、戦術をいじったりして、何とか残留することが出来ましたが、今年はそこから踏まえてどういうサッカーをするかだと思っています。
──オフには、長年チームを支えた選手が引退した一方で、10選手が新たにチームに加わりました。今年の戦力はどうですか。
社会人サッカーというのは、どうしても毎年メンバーが変わってしまいます。昨季、リーグ得点王になった佐々木滉太が移籍(関東1部つくばFCへ)したり、引退した選手も多くて、そうやって選手が入れ替わる中で、人数的にも戦力的にも、今年が一番全体的に小粒になったと思います。他の上位クラブに比べると少し見劣りしますが、その中でうまく工夫しながらやるしかないです。
──毎年選手が入れ変わる中でのチーム作りをするのは、Jリーグ時代とはまた違った苦労があるかと思います。
本当に難しいですね。14試合しかないのに、今まで前半戦の成績が悪いんです。開幕戦も勝ったのは1試合だけかな。出だしで苦しんで、徐々に調子をあげていっても9月でリーグ戦は終わってしまう。今年も1月末からチーム始動して、開幕まで3か月ほどチームを作ってきていますが、僕がイメージするサッカーと、選手が出来る力量を比べて、「これは出来る、これは出来ない」というのを精査していく作業が難しいです。
──「美濃部監督がイメージするサッカー」とはどういったものでしょうか?
基本的にはボールを保持してボールを動かしながら、ゴール前でアイデアを出して点を取るのが一つ。もう一つは前線でボールを奪ってから、ショートカウンターで点を取る。これは相反することですが、この二面性を考えるように選手には言っています。攻撃に加え守備面でも、前からプレッシャーに行く場面と、ブロックを作ってひいて守る場面。この四つの場面が交互に入れ替わっていく。それを「この場面で速く攻めた方がいいな」とか状況判断できるように浸透させていくのが難しいところです。
でも一番は見ている人が面白いサッカーがしたい。関西リーグはそんなにお客さんが多い訳じゃないので、橿原の人に見に来て楽しいなと思ってもらえるようなサッカーがしたいですね。もちろんたくさん点が入ればいいけど、サッカーはそう簡単ではないので…。だからこそアグレッシブなプレーで、「みんなよく走っているな」とか「最後までしっかり戦っているな」とか、そういう雰囲気を感じられるサッカーをして、見に来た人に少しでも魅力を感じてもらえたらいいなと思います。
──ずばりライバルとなるクラブはありますか?
(昨年優勝の)アルテリーヴォ和歌山や(3位の)Cento Cuore HARIMAなどのクラブは予算規模も違うし、選手をうまく補強しています。ほかにも大学生のチーム(阪南大クラブ)もあるし、淡路(FC.AWJ)やFC BASARA(HYOGO)もある程度、予算規模を作って選手を集めてくるので、その辺りがどの程度の戦力でやってくるかも未知数です。他にも(開幕戦で当たる)守山侍2000は、メンバーが毎年ほぼ固定なので、その積み上げは大きいです。どのクラブも手ごわいのは間違いないです。
──2021年には当時JFLの奈良クラブを破って天皇杯に出場。昨年は全国社会人サッカー選手権にも出場しました。関西リーグ以外のカップ戦についてはどう挑みますか。
全国社会人サッカー選手権には、JFL昇格にもつながる全国大会なので、そういう大会に去年初めて出られて、いい内容だったけど1回戦で負けたので、今年も出られるように狙っていきます。今年は、滋賀で開催されるので、奈良からも来てもらいやすいですし、何とか出場したいです。天皇杯も、勝ち進めばJ1のクラブとも戦える大会なので。(2021年に)一度出場しただけでも、全国的にチームの存在を分かってもらえたので、そういうチャンスがあればいいなと思います。
──その為には県予選で奈良クラブを倒さないとですね。
(にやりと笑いながら)そうなればいいですね。
飛鳥FCというクラブについて
──監督自身も就任4年目となりました。この「飛鳥FC」というクラブを、美濃部監督はどういうクラブだと思われますか。
最初に就任した時は(運営会社は)まだNPO法人で、上に行きたいという思いはあっても、現実的にやっていくのは大変でした。2年前に株式会社化して本気で上を目指してはいます。奈良県にはトップにJ3で戦う奈良クラブがいて、県内2番手のクラブとして関西リーグでやっていくのも決して悪い事ではないけど、北に奈良クラブがあるなら、橿原市を中心とした中南和にある飛鳥FCが、一つでもカテゴリーをあげて、JFLやJリーグで戦っていけると奈良県のサッカー界が非常に盛り上がると思う。そこに向けて、このクラブが目指す道を手助け出来ればいいと思っています。
──橿原市の方に向けてメッセージをお願いします。
関西リーグは観戦が無料なので、ちょっと遊びに行こうか、覗いてみようかくらいの気持ちで、気軽に見に来て欲しい。それで試合を見たらサッカーの魅力を感じてもらえるように出来たらいいですね。小さい奈良県の中で、奈良クラブと争うとか考える必要はないと思っています。橿原陸上競技場とかヤタガラスフィールドのような施設があって、そういうところで本気でサッカーをやっているところを、橿原市や近隣の自治体の方が気軽に見に来られる。そういう文化が作れたらいいですね。
飛鳥FC 2024シーズン 注目選手紹介
背番号7 MF 清川 流石(きよかわ さすが)選手
昨季チーム2位となる4ゴールをマークした注目のアタッカー
背番号6 MF 志水 克行(しみず まさゆき)選手
過去には奈良クラブにも所属していた職人肌のベテランMF
背番号13 DF 小笹 響平(おざさ きょうへい)選手
今季、富山新庄クラブから加入したパワフルなサイドバック
梅本タツヤ
奈良県のスポーツの面白さや奥深さを広く発信するべく活動している副業スポーツライター(普段はサラリーマン)。好きなスポーツは、球技(野球・サッカー・バスケ)、格闘技、モータースポーツなど。運動音痴なため得意なスポーツはなし。J3奈良クラブをはじめ、奈良を中心とした関西のスポーツを定点観測するブログ「スポーツプレスNARA」を運営中。Twitter(@SportspressNara)もやってます。