橿原市からJリーグを目指すサッカークラブ「飛鳥FC」が所属する「日本フットボールリーグ(JFL)」は、いよいよ今週末に開幕。
今季から昇格した「飛鳥FC」は3月9日に、「ティアモ枚方」とたまゆら陸上競技場(大阪府枚方市)にて戦います。 カシュー編集部は、そんな開幕戦を前に、チームの指揮を執る美濃部直彦監督にインタビューを敢行!今年の展望や、チームの目標についてお伺いしました。
美濃部直彦監督インタビュー

美濃部直彦(みのべ なおひこ)
1965年7月12日生まれ、59歳。滋賀県守山市出身。現役時代は京都パープルサンガ(現京都サンガFC)などでプレー。引退後は京都の育成組織の指導者を経て、京都サンガで監督デビュー。徳島ヴォルティスや長野パルセイロで監督を歴任し、2021年よりポルベニル飛鳥(現飛鳥FC)の監督に就任。昨年関西リーグ、全国地域チャンピオンズリーグを制し、JFLへ昇格。
──カテゴリーが変わってクラブとしてJFLで迎える初めて開幕に向けて、今のお気持ちはいかがですか。
僕は指導経験の中で色々経験はあるし、そこまでどうというのはないですけど、チーム自体は初めてで、そういう意味じゃ、楽しみと不安が半分半分ぐらい。その不安というのは自分たちにどのくらい力があって、相手にどのくらい力があって、この1年がどういう戦いになるのかっていうのは正直見えない部分がある。ずっと同じリーグならある程度、力関係はわかると思うんですけど、そこの部分で力関係が全く分からない。自分たちの力がJFLの中でどれぐらい通用するか、具体的にはまだ理解できていない。だから楽しみやなって部分と、どうなるかなっていう不安な部分と半分ずつのイメージですかね。
──今年は選手が半分程度入れ替わった。戦力的にはどうか。
JFLに上がったことで、練習参加とかうちに来たいっていう人が、例年やったら20人ぐらいのところ、100人以上集まった。カテゴリーが上がったことによって注目されて、色んな選手が来てくれた中で、精査してうちにとって必要な選手を15,6人取れた。昨年より当然上がってると思うし、個の力を持っている選手も何人かいるので、そこは楽しみだと思います。
──JFLで目指す順位と、監督の目指すサッカーとは
昨年のデータ…。いわゆる順位の勝率と、得点・失点のバランスなんかを見て、どういうチームが上位にきて、どういうチームが下位に落ちているかっていうのを見つけた。その中で目標設定として、自分の中では何とか10位以内ぐらいをイメージしています。
やっぱり失点が増えるとどのリーグでも苦しいのは当然なこと。ただそれ以上の攻撃力があれば、それもカバーできているチームがあるっていうことを考えると、攻撃にもウエートを置きながらも、やっぱり守備はある程度安定するサッカー(にいきつく)。
勝ち点を積み上げていくには、勝ち切ることがもちろん1番だけど、勝ち点1の価値もJFLでは大きい。同じ引き分けの勝ち点1でも、どういう勝ち点なのかで価値が全然違うんです。 追いついて勝ち点1得たのか、追いつかれて勝ち点2を失ったのか。そういう細かい最後のゲームの締め方のところまで、しっかりこだわっていって勝ち点を積み重ねていけばいいかなと思っています。
──JFLと地域リーグの違いについて
試合数は増えましたが、試合数的には多分そんなに負担はないと思うんですよ。元々関西リーグの試合数が少ない。ただ全国リーグになると、移動がある。彼らはほぼ全員が仕事をしているので、特に日曜ゲームで月曜から仕事がある、とかその辺りのコンディションが心配になりますよね。夏場は日曜ナイターなんかにもなる。Jリーグみたいに、サッカー中心に生活が組めるわけじゃないので、そのあたりが一番心配ですね。
──対戦が楽しみなチーム等はあったりしますか?
普通に全国の色んなチームと、しかもレベルの高いチームと試合できるっていうことは、楽しい。勝ち負けは当然あるから、悔しいとか、ネガティブな要素とかは年間何回か出てくるとは思いますけどね。そもそも選手たちにも言っているけど、「我々はチャレンジャー」。去年地決を戦った感覚と一緒で、チャレンジして自分たちがどれぐらいできるかっていうのを楽しみにしながら、論理的に戦っていければ。
──目標は10位以内とさっき仰っていたが
なんか「優勝します」っていうのは、それを証明する材料なく、大見得はってそういうことを言う必要はないと思っている。やらなくちゃいけない最低ボーダーラインは残留。それはもう絶対。チームとして何としても守らないといけない。上の目標としては、やっぱり10位以内かなと。10位以内に入るには勝ち点40以上必要。そこがちょうど目標設定的にはいいかなと思ってます。
短期的には、試合数を5試合毎に1クールと見て、目標設定を置いている。そのクールで見て、このクールは目標を下回ったからもっとやらないといけないという風な考え方。選手たちにも何気なく1シーズンを戦うんじゃなくって、残留とか優勝とか長期の大きな目標だけじゃなく、1クールごと・試合ごとにちゃんと目標設定を持たせて、そのために今週はどういうトレーニングをするか。例えば相手が強かったら守備のトレーニングをたくさん入れるみたいな流れをわかってほしいと思っています。
──監督にとっては、久しぶりのJFLとなる
久しぶりっていうか、もう関西リーグで何年もやっていたら、どういう選手がいてとかはやはり分からなくなる。映像を見てもあんまりはっきりしない部分もたくさんあるし、1人1人分析しても仕方ない。だから正直、リーグが色々分かってくるのは、リーグが始まって5試合ぐらい見てから、こんな感じかみたいに分かってくる事が多いと思う。
──中南和の方々へメッセージ
飛鳥FCがJFLに上がったっていうのは全国のサッカーファン的に言うと、割と衝撃的な出来事だったと思う人が多い。どういう戦いをするのか、どうなるのかみたいな全国のサッカーファンの関心を感じる。一方で地元の人は、元々奈良クラブもあって、関心を持ち辛いとは思います。だけどJFLでは飛鳥、橿原に全国からいろんなチームが来ることになる。代表的な例で言うと三浦知良選手(アトレチコ鈴鹿)が来るかもしれないですからね。全国の舞台で、橿原中心のチーム、飛鳥FCが戦ってるっていうことにちょっとずつでいいから、興味を持ってもらえたら嬉しい。
スタジアムはサッカーの試合がメインだけど、それ以外のグルメであったりとか、イベントとか、そういうのを楽しんでもらえる場でもある。お子さんも夫婦も恋人同士でも友達同士でもいいので、スタジアムに試合を見にきて、前後の一時間ぐらいで何か食べたり遊んだりできたらいいなと。その素敵な3時間みたいなものをクラブとともに作っていけたらいいなと思っています。
梅本タツヤ
奈良県のスポーツの面白さや奥深さを広く発信するべく活動している副業スポーツライター(普段はサラリーマン)。好きなスポーツは、球技(野球・サッカー・バスケ)、格闘技、モータースポーツなど。運動音痴なため得意なスポーツはなし。