はじめに
皆さん、こんにちは。阿礼です。
涼しくなってきましたね。読書の秋といたしましょうか?
飛鳥です。今月もよろしくお付き合いくださいね。
本編
先月は、カシューのホーム橿原の地に、九州から遠路はるばるやって来られて、宮をつくられた神武天皇の東遷の話をしたやん?
今月は、初代の神武天皇から数えて、第十代の崇神(すじん)天皇のお話をします。
先月、諡号(しごう)の話をしてくれたけど、崇神天皇も生前のお名前はあったんよね?
おぉっ!飛鳥ちゃん、よく覚えてくれているね!
このダイジェスト古事記では、ややこしくならないように諡号(崩御されてから贈られた名前)で呼ばせて頂くけど、崇神天皇には「ミマキイリヒコイニエ」という名前があってんよ。
生前はミマキイリヒコイニエ、崩御されてから崇神天皇。
で、分かりやすいように今後登場される方々も、○○天皇という諡号で呼び習わすのね。
そう。それで宜しくお願いします。
その崇神天皇の時代、疫病がめっちゃ流行ってん。
えーー、今みたいやん。
その時代の人たちが皆いなくなってしまうぐらいの大変なパンデミックやってんよ。
で、崇神天皇は何とかせなアカン!ってなって、神さまにアドバイスをもらおうと連日祈ってはったら、ようやく数日後にオオモノヌシの大神が崇神天皇の夢にあらわれてん。
あ!第六章に出てきたオオモノヌシ!
たしか、オオクニヌシが国造りしている最中にトラブル発生して困ってたら、オオモノヌシを三輪山の上に祀ったら良いっていうお告げがあって、お告げの通りオオモノヌシをお祀りしたら国造りも上手いこといった、という話やったよね?
そう!そのオオモノヌシね。
蛇の神さんやから、大神神社のご神木のところに卵をお供えされてはるよね。
よく知ってるねー。
そのオオモノヌシが崇神天皇の夢にあらわれはって、「オオタタネコ」を探して私を祀らせなさい、というお告げがあったのよ。
オオモノヌシはオオタタネコっていう人を神主さんに指名しはったのね。てか、何者?
大捜索の末、オオタタネコは今で言う大阪の八尾にある村にいてはるのが分かって、崇神天皇はオオタタネコに会って「あなたは誰の子なの?」って聞かはったのよ。
そしたら、オオタタネコは「わたしは、オオモノヌシの子孫です」って答えて、崇神天皇は「まさにこの人やん!」って大喜び。オオタタネコは大神神社の神主となり、疫病は鎮まってん。
という話。
ここで「めでたし、めでたし」やねんけど、古事記でも少しオオタタネコの話をしたから、ダイジェスト古事記でも話そうか?
うん。今日の話、短っ!って思ったし、もうちょっと聞かせて。
オオモノヌシとの関係、めっちゃ気になる!
昔、イクタマヨリビメという美しい乙女がいて、夜中になると超絶イケメンが乙女のところに通ってたんよ。
昔は、通い婚っていって、男性が女性の家に会いに行って数日暮らすという結婚スタイルやったんよね。
そうこうするうち、イクタマヨリビメは超絶イケメンとの間に赤ちゃんが出来てんけど、その超絶イケメンはイクタマヨリビメの両親も知らん人やし、いったい誰なんか調べよう!って話になってん。
赤土を寝床のまわりに撒いて、糸巻に巻いた麻糸の端を針に通してイケメンの衣の裾にこそっと刺す、という大作戦を展開したのよ。
針で刺した麻糸の先は、そのままイケメンの衣にくっついてイケメンの家まで行くから、枕元の糸巻から糸をたどればイケメンの家が分かる!って話やね。
そしたら、なんと!麻糸は部屋の戸のかぎ穴から通り抜けて外に出て、枕元の糸巻には三巻だけ残されていたっていうねん。
え?ってことは、そのイケメンはかぎ穴から外に出たってこと?
それで糸をたどって行くと、オオモノヌシをお祀りした山にたどり着いたから、これはイケメンがオオモノヌシに違いない!ということになったのよ。
オオモノヌシは蛇神さんやし、かぎ穴からするっと抜け出ることも出来たってことか。
ちなみに、枕元に三巻だけ残っていたことから、このあたりの土地を「三輪」っていうようになったんよ。
ひゃぁ~、突然やってきた土地の名前の由来!
大神神社(=三輪さん)のことがよく分かっていただけたでしょうか?
そのオオモノヌシとイクタマヨリビメの間に出来た赤ちゃんの子孫が、このオオタタネコやねん。
ちなみに、大神神社のすぐ近くに大直禰子神社(おおたたねこじんじゃ)があります。
明治以前は大御輪寺(だいごりんじ)として、現在は聖林寺(しょうりんじ)にいらっしゃる国宝の十一面観音菩薩がまつられていたんですよ。
奈良に、しかも近所の桜井に関する話が、日本の始まりの頃の話として登場するの、めっちゃワクワクするー。
次回予告
そしたら、次はちょっと北にあがって、奈良市内のエピソードを少し話しましょうかね。
皆さん、次回もお楽しみに!元気でお過ごしくださいね。
【ダイジェスト古事記 他の話はこちら】
第一章:古事記って何?
第二章:天地開闢(てんちかいびゃく)
第三章:黄泉の国から
第四章:高天原の事情
第五章:地上の星
第六章:愛と嫉妬の物語
第七章:国譲りのコト
第八章:天孫降臨
第九章:GO EAST!
第十章:古代パンデミック
第十一章:兄弟の絆と不老不死の実
第十二章:ヤマトタケル伝説(ダイジェスト)
第十三章:戦う女帝
第十四章:愛ゆえに税を捨てた帝
第十五章:スーパーダイジェストフィナーレ
【特別企画】奈良クラブ・可児選手に聞く「古事記の魅力とは」
エルティグレ
奈良県生まれ、奈良県育ち。就職を機に奈良を出て大阪から東京へと移り住んでいるうちに原点回帰の大Uターン移住。奈良を離れる時は特に何も思っていなかった奈良の魅力にどんどんハマり、社寺のこと、神道や仏教のこと、伝統行事や文化のこと、古事記や日本書紀、いろいろ勉強するうちにガイドまでやるようになった覆面ライター。奈良まほろば検定1級。奈良県地域通訳案内士。趣味はラーメンとプロレス。