はじめに
今回で急遽、打ち切りとなりました。
最終回の稗田阿礼です。
#エイプリルフール
さて、特に誰の心もざわつかせない嘘から始めました第四章ですが、これからも張り切って喋ります。
まずは新入学・新社会人の皆さん、おめでとうございます。
おめでとうございます!
是非このよき機会に、私と一緒に阿礼さんから古事記を聞きましょう♪
高天の原の事情
前回の終わりごろに、黄泉の国から帰ってきたイザナギは、穢れ(けがれ)を落とすために禊ぎ(みそぎ)をしはって、その洗ったところから三柱の神々が生まれはったやん?
左目からアマテラス、右目からツクヨミ、鼻からスサノヲ、やったよね?
その通り!飛鳥ちゃん、やるやん!
それで、アマテラスは高天原、ツクヨミは夜の国、スサノヲは海を、それぞれ治めるようにお父さんのイザナギから言われはったやん?
そやのに、スサノヲは「お母さんに会いたい~。根の堅州国(ねのかたすくに。イザナミがいる所)に行きたいぃ~」って泣きわめいて、全然仕事せぇへんからイザナギは怒って高天原からスサノヲを追い出さはってん。
なんとなく男の人って、お母さん好きよねー。そのエクストリーム系って感じやわぁ。
高天原から追放されたスサノヲは母さんを求めて根の堅州国に行く決心をし、その前に姉さん(アマテラス)に挨拶だけしとこって思わはって、アマテラスのところに行かはってんけど、その足音は大きいし地面は揺れるし、もう大騒ぎやってん。
特撮映画みたいな映像が浮かんだ…。
それに近いかもね。外から大騒ぎが聞こえて、スサノヲが来たということを知ったアマテラスは、これはスサノヲが高天原を奪うために攻めてきたんやな!!って勘違いして、完全武装して待ち構えはるんよ。
お母さんのとこ行く前に、ちょっと挨拶だけしに寄ったら、お姉ちゃんが完全武装で待ち構えてるって、悲しすぎへん?
それでスサノヲは、そんなんちゃうねんって説明しはってんけど、アマテラスは信じられへんし、それやったら正直占いしよ!ということになってん。
正直な方が勝つという正直ジャンケンの占いバージョン?!
それ!正直ジャンケンの発想のルーツって意外と古いんやけど、今どきの皆さんは正直ジャンケンを知らなかったりしますか?(ドキドキ ・・・ ジェネレーションギャップ怖イ ・・・)
え~、さて、どんどん続けましょう。
これは誓約(うけい)って言うねんけど、「AをしてBという結果が出たら吉!」的な占いです。
あの電柱までこのまま自転車をこがずに行けたら、今日の晩ご飯はきっと私の好きなメニューや!!的な?
そう、そういう感じ。
で、このアマテラスとスサノヲは、”子を生む”という行為をして、”良い子が出来た”方が”正直なことを言ってる!”という判断をする誓約をしはるねん。
え?ちょ・・・ ざっくりしすぎてへん?
まずアマテラスは、スサノヲの剣を口に入れて噛み砕き、フッと霧のように吹き出すと、その霧から3柱の女神が生まれはってん。
その後スサノヲは、アマテラスが髪に巻いていた勾玉を口に入れ噛み砕き、フッと吐き出すと5柱の男神が生まれはってん。
で??それは、どういう判断になるん?
アマテラスは「はいっ!心の清い男の子が生まれたのは、私の持ち物から~~!だから私の心が清いぃ~!そして正しいぃ~~!」ってジャッジしはってん。
えぇぇ~~~!!!??スサノヲの口から出たのに?
こういう占いするときは、是非、判定方法も細かく決めてから実行したいよね
あ、飛鳥ちゃん、良いこと言った。
そうやで、ちゃんと納得いく条件でないと、簡単に何でも実行したらアカンねんな。
突然、別の角度で勉強になるわぁ~
そしたら、スサノヲはキレて暴れ出し、アマテラスの大切な田畑や神事でつかう大事なものを壊してまわり、しまいにはアマテラスのアシスタントさんが巻き添えになって死んでしまわはってん。
それでアマテラスもブチギレて、天石屋の戸(あめのいわやのと)にシュッと隠れてしまわはって、高天原からは光が消え、真っ暗闇で邪悪な世界になってしもてん。
これが有名な“引きこもり”!
違う!“天岩戸隠れ(あまのいわとかくれ)”!邪悪な世界に困り果てた神々は、どうやったらアマテラスに出てきてもらえるか必死でミーティングをして、その岩戸の前で賑やかなお祭りをして注意を引こう、そして少しでも岩戸が開いたら力自慢の神にこじ開けてもらおう、というプロジェクトが立ち上がったのよ。
日本初のフェスやね
そう。神々の本気のフェスやからね。超絶人気歌手のアメノコヤネがええ声で祝詞(のりと)をあげたり、アメノウズメというトップダンサーが踊ったり、大盛り上がりした訳よ。そしたら、アマテラスがあまりに気にならはって、チラっと覗かはったところを力自慢のアメノタヂカラがバコーンと岩戸をなぎはらってアマテラスを出してくれはったんです。
良かった~
ホンマ、良かったよね。
で、世界は光を取り戻し、その原因となったスサノヲは完全に高天原から追い出されてしまうのでした。
なんか、ちょっと切ないね
次回予告
それでは、次回、地上に降りたスサノヲのその後の話から始めましょう。
今回は大変長くなっちゃいましたが、お付き合いありがとうございました。
また次回も、お会いしましょうね~。
【ダイジェスト古事記 他の話はこちら】
第一章:古事記って何?
第二章:天地開闢(てんちかいびゃく)
第三章:黄泉の国から
第四章:高天原の事情
第五章:地上の星
第六章:愛と嫉妬の物語
第七章:国譲りのコト
第八章:天孫降臨
第九章:GO EAST!
第十章:古代パンデミック
第十一章:兄弟の絆と不老不死の実
第十二章:ヤマトタケル伝説(ダイジェスト)
第十三章:戦う女帝
第十四章:愛ゆえに税を捨てた帝
第十五章:スーパーダイジェストフィナーレ
【特別企画】奈良クラブ・可児選手に聞く「古事記の魅力とは」
エルティグレ
奈良県生まれ、奈良県育ち。就職を機に奈良を出て大阪から東京へと移り住んでいるうちに原点回帰の大Uターン移住。奈良を離れる時は特に何も思っていなかった奈良の魅力にどんどんハマり、社寺のこと、神道や仏教のこと、伝統行事や文化のこと、古事記や日本書紀、いろいろ勉強するうちにガイドまでやるようになった覆面ライター。奈良まほろば検定1級。奈良県地域通訳案内士。趣味はラーメンとプロレス。