はじめに
皆さん、こんにちは。阿礼です。
雨の後から、めっきり冷え込んできましたね。
飛鳥です。急な気温変化でお身体を崩されないようにしてくださいね。
それでは、ダイジェスト古事記を始めましょう!
本編
今日はヤマトタケルの話やねんけど、かなり長くなるのでエピソードを絞って話すわな。
ダイジェスト古事記のダイジェスト版やね。
ヤマトタケルは第十二代・景行天皇の三男で、前回喋った不老不死の実の話で出てきた垂仁天皇の孫さんやねん。
三男やねんけど、次の天皇候補としてフィーチャーされてはって、西へ東へ戦いに行くエピソードで有名やね。今日は、その中から特に有名な4エピソードを話すよ。
エピソード1:兄を「あんじょう」する話
あんじょうって、関西弁で「良い感じにする」とかいう意味の?
そう、それ。
お父さんの景行天皇には側室がたくさんいてはるねんけど、その中の一人をヤマトタケルの兄が奪って妻にしちゃって、それを知った景行天皇から「あんじょうしてこい」って言われて、ヤマトタケルは兄をちぎって捨ててしまうのよ。
ひぇ~。のっけから残酷な話・・・
命令したのは景行天皇自身とはいえ、子のヤマトタケルが恐ろしくなってしまい、ちょっと遠ざけたくなるねん。
複雑やなぁ。
エピソード2:熊襲(くまそ)退治
さっきも言ったけど、お父さんである景行天皇は、ぶっちゃけ自分の子であるヤマトタケルが怖くなってきててさ。
そしたら、西にいるクマソタケル兄弟が反抗しまくってきてて、かなんなぁ…って思ってた時やったし、ちょうど良いって言ったら変やけど、なぁ。
で、クマソタケル兄弟をやっつけてこい!って景行天皇に言われたヤマトタケルは、女の子の格好をしてクマソタケルの宴会に忍び込み、クマソタケル兄弟をやっつけるねん。
クマソタケルって、どの辺の人やってんやろ。
西の方っていう設定やねんけど、九州南部って言われているね。
なんか感覚だけで言うけど、九州の人ってめっちゃケンカ強いイメージある・・・
ほかにも強い人がいてん。次は、出雲な。
エピソード3:出雲での裏切り
クマソタケルを退治して帰る途中に、出雲(現在の島根県)にいるイズモタケルというボスもやっつけようと、出雲に立ち寄るヤマトタケル。
もはや武者修行やん。
そやな。いろんな抵抗勢力を平定しながら父の景行天皇に従わせるようにする、なんとなく政治的な感じもあるね。
ここでヤマトタケルは、まずイズモタケルと仲良くなるねん。
ある日、木でつくったフェイクの刀を腰にさげたヤマトタケルは、イズモタケルと川に水浴びに出掛けて、服を着る時に
「太刀、交換せーへん?」
ってもちかけるねん。
イズモタケルは、マブダチのヤマトタケルの提案やし、「えぇよ!」って交換するのよ。
そしたらヤマトタケル、「こい!イズモタケル!勝負だ!!!」って戦いを挑むねん。
えぇーーーーーーー、ヤマトタケルのって木刀やん?!
交換したってことは、ヤマトタケルが真剣で、イズモタケルが木刀やん!
えぇーーーーーーーーーーーーーーーー!!
それでヤマトタケル、勝利。
ですよね。
エピソード4:東へ
西側諸国を平定したヤマトタケルは奈良に帰るとすぐに景行天皇から、間髪入れずに「次は東にいる・・・」と次のミッションを与えられるねん。
帰ったばっかりやのに?つら・・・
東に行く途中、伊勢神宮にいる叔母のヤマトヒメに愚痴りに寄らはるし、ホンマつらかったんやろな。
そしたら、ヤマトヒメはクサナギのツy・・・
草薙の剣(クサナギノツルギ))な!
ヤマタノオロチから出た剣のな!
そう、その剣と「何かあったら、この袋の口をあけなさい」って謎の袋をヤマトタケルに渡さはってん。
草薙の剣と謎袋を手に入れたヤマトタケルは、相武(さがむ)の国の悪い知事に
「この野の中に大きな沼があって、その中にいる神が荒れ狂うので困ってるんですぅ」
って言われるねん。ホンマは、いないのに。
ヤマトタケルは騙されているとも知らず「よっしゃ!やっつけたろ!」って野に分け入って行かはるねん。
そしたら、なんと悪い知事は野の周りに火をつけてヤマトタケルを焼き払おうとするわけよ。
今日って、どの話も刺激が強いわ・・・
大ピンチのヤマトタケルは「困ったら開けなさい」とヤマトヒメに渡された袋をオープン!
何、何?何が入ってたん?
中には火打ち石が入っていました。
うーーーーーーーーわ!今、一番いらんヤツ!!
まずは、自分の身の回りの草を、草薙の剣で刈り払い・・・
え?だから、草なぎ?
え?名前の由来、ここ?
そうやで。その草薙の剣で草を薙ぎ払い、入ってた火打ち石で向かい火をつけて、襲ってくる火を跳ね返して、危機回避!
ちなみに、ここ、焼津(やきつ)って言います。
え?静岡の??焼津(やいづ)の由来?
諸説あるけどね。
こんな風に、ヤマトタケルは様々なエピソードで語られていて、まだ少しあるので気になる人は私の本(古事記)を橿原市内の本屋さんで買って読んでみてください。
その後、ヤマトタケルは現在の三重県あたりで病に倒れ、こんな歌を残しはります。
やまとは 国のまほろば
たたなづく あをかき
山ごもれる やまとし うるはし
聞いたことある!
故郷から離れて戦いに明け暮れ、帰る途中で病に倒れて歌った歌かと思うと、奈良を思う気持ちをより一層強く感じるよね。
家族が悲しみにくれてヤマトタケルの亡骸を囲んでいると、その魂は大きな白い鳥になり、飛び去ったんやって。
やっと自由になれた、って感じがするね。
今回は、兄にも容赦なかったヤマトタケル、退治をするためには女装もするし友だちのふりして裏切りもするし、でも叔母さんには弱音を吐くこともあるし、危機一髪を知恵で乗り切るし、残忍でも聡明でも人間っぽくもある姿を味わってもらえたら嬉しいです。
なんか、今日はエモいね
ヤマトタケルの話って、残忍なシーンが取り沙汰されることが多いねんけど、人間性のバランスを取るためにもがいているようにも見えて、なかなかグッとくるねん。
だから今日は特別に長かったんやね。
ゴメンやで。
次回予告
次回は、戦うヒロイン、神功皇后のお話をします!
それでは、皆さん、お元気にお過ごしくださいね。
メリークリスマス!
【ダイジェスト古事記 他の話はこちら】
第一章:古事記って何?
第二章:天地開闢(てんちかいびゃく)
第三章:黄泉の国から
第四章:高天原の事情
第五章:地上の星
第六章:愛と嫉妬の物語
第七章:国譲りのコト
第八章:天孫降臨
第九章:GO EAST!
第十章:古代パンデミック
第十一章:兄弟の絆と不老不死の実
第十二章:ヤマトタケル伝説(ダイジェスト)
第十三章:戦う女帝
第十四章:愛ゆえに税を捨てた帝
第十五章:スーパーダイジェストフィナーレ
【特別企画】奈良クラブ・可児選手に聞く「古事記の魅力とは」
エルティグレ
奈良県生まれ、奈良県育ち。就職を機に奈良を出て大阪から東京へと移り住んでいるうちに原点回帰の大Uターン移住。奈良を離れる時は特に何も思っていなかった奈良の魅力にどんどんハマり、社寺のこと、神道や仏教のこと、伝統行事や文化のこと、古事記や日本書紀、いろいろ勉強するうちにガイドまでやるようになった覆面ライター。奈良まほろば検定1級。奈良県地域通訳案内士。趣味はラーメンとプロレス。