はじめに
皆さん、こんにちは。阿礼です。
寒くなってきましたが、お元気ですか?
飛鳥です。冬の澄んだ空気は大好きやし、紅葉も楽しみ!
今月も元気に古事記ワールドへレッツゴー!
本編
今日は、奈良市内に舞台を移して、第11代・垂仁(すいにん)天皇のお話やで。
垂仁天皇って、尼ヶ辻駅の近くにある古墳の?
ほら、電車から見える古墳あるやん。
正解!よく知ってるなぁ!
その垂仁天皇にはサホビメという奥さんがいてはってな、
そのサホビメには超仲の良い兄のサホビコがいてん。
で、ある日、サホビコはサホビメに「俺と旦那とどっちが大事や?」みたいな質問をするのよ。
え~、男子が彼女にされたら嫌な質問よりエグ・・・
その質問にサホビメは「お兄さまを愛しいと思っています」って答えるねん。
するとサホビコは「ホンマに俺のが大事なんやったら、二人で天の下を治めようぜ」って垂仁天皇暗殺計画をもちかけて、キレッキレの短刀を渡すのよ。
命まで・・・となると難しすぎるわぁ。
まさに飛鳥ちゃんと同じような心境になったサホビメは、膝枕でお昼寝中の垂仁天皇の首を何度も刺そうとしてはためらって、というのを繰り返しているうちに涙があふれてきて、その涙で垂仁天皇は起きちゃうのよ。
そして、なんで泣いてるか聞かれて、事情を全て話すねん。
ビックリした垂仁天皇はサホビコ討伐に立ち上がり、サホビコもそれに応戦。
サホビメは、心が痛んだやろうなぁ。
そのサホビメは実は妊娠してはってんけど、身重のまま宮を抜け出して、兄サホビコのところに行ってしまうねん。
それで、垂仁天皇はサホビコの砦を包囲しながらも、愛するサホビメに危険が及んだらアカンし、どうしよう・・・って攻められへんまま時間が過ぎるうち、とうとうサホビメの赤ちゃんが生まれるんよ。
戦の中で?
そう!そこで戦が動くねん!
サホビメは、なんと、その赤ちゃんを砦の外に置いて差しだそうとするねん。
それで垂仁天皇は、赤ちゃんを迎えに行った時、そのままサホビメごと連れて帰ってくるように力自慢の兵士に命じておくねんけど、サホビメ奪還作戦は失敗。
赤ちゃんだけは垂仁天皇側に連れて帰れてんけど、サホビメはサホビコと戦の中で命を落とすことになってん。
あぁ、サホビメ、政治のいざこざの中で完全に翻弄されてるやん。
実は、垂仁天皇には、もうひとつエピソードがあってさ。
それは、サホビメの件とは別で、さっき飛鳥ちゃんが言ってた垂仁天皇陵に関係する話やねんけど、続けていい?
うん。聞きたい。
垂仁天皇って、タジマモリという臣下に、永遠の命が授かるという「登岐士玖能迦玖能木實(ときじくのかくのこのみ)」を探してこい、って命令したのでも有名やねん。
日本書紀では「非時香菓」って書くヤツね。
飛鳥ちゃん、ナイス!
「登岐士玖能迦玖能木實」も「ときじくのかくのこのみ」もちょっと読みにくいから、「非時香菓」を使わせてもらうわ。
タジマモリは、その非時香菓を求めて、海の彼方にあるという理想郷、常世の国に向かうねん。
幻の国やん。
とうとうタジマモリは、ガッツで非時香菓を見つけて持ち帰るんやけど、時すでに遅し。
垂仁天皇は崩御された後だったのよ。
タジマモリは、ショック過ぎて泣き叫びながら、そのまま息絶えてしまうねん。
泣き叫びながら絶命って、壮絶すぎるやん。
そうやねん。
タジマモリが可哀相やったからかなぁ、垂仁天皇の近くに葬ってあげようって事になったんよ。
今でも垂仁天皇陵のお濠の中に小島があるねんけど、それがタジマモリのお墓やって言われてるねん。
ちょっと今度、行ってみようかな。
うん。是非行ってみて。
非時香菓だと言われている橘が植えられていたり、素敵な風景が見られるよ。
あと、サホビメについては、「狭岡(さおか)神社」にサホビメに関係のあるスポットがあるよ。
その辺りは「佐保地区」って呼ばれているから、サホビメ・サホビコとも関わりが深そうやね。
狭岡神社は、今年の3月まで奈良高校があった場所の近くやね。
今日は2つのエピソードで大変長くなりましたが、いかがでしたか?
サホビメは、なんでそうしたん?
とか考えると興味深いわぁ。
いろいろ想像しながら古事記ワールドを楽しんでもらえると嬉しいです。
次回予告
さて、次回は有名人ヤマトタケルのお話です。
これもまた長くなりそうですが、皆さんよろしくお付き合いくださいね。
それでは、来月までお元気にお過ごしください。
【ダイジェスト古事記 他の話はこちら】
第一章:古事記って何?
第二章:天地開闢(てんちかいびゃく)
第三章:黄泉の国から
第四章:高天原の事情
第五章:地上の星
第六章:愛と嫉妬の物語
第七章:国譲りのコト
第八章:天孫降臨
第九章:GO EAST!
第十章:古代パンデミック
第十一章:兄弟の絆と不老不死の実
第十二章:ヤマトタケル伝説(ダイジェスト)
第十三章:戦う女帝
第十四章:愛ゆえに税を捨てた帝
第十五章:スーパーダイジェストフィナーレ
【特別企画】奈良クラブ・可児選手に聞く「古事記の魅力とは」
エルティグレ
奈良県生まれ、奈良県育ち。就職を機に奈良を出て大阪から東京へと移り住んでいるうちに原点回帰の大Uターン移住。奈良を離れる時は特に何も思っていなかった奈良の魅力にどんどんハマり、社寺のこと、神道や仏教のこと、伝統行事や文化のこと、古事記や日本書紀、いろいろ勉強するうちにガイドまでやるようになった覆面ライター。奈良まほろば検定1級。奈良県地域通訳案内士。趣味はラーメンとプロレス。